不動産執行とは、債務者が所有する不動産を強制執行により差し押さえ、競売によって金銭に換え、債権の回収を実現するものです。
通常、執行の対象となる不動産は、土地と建物です。
一般的に、債務者が単独でその不動産を所有している場合もあれば、他のだれかと共有しているという場合もありますが、共有している場合でも、その共有持分に対して強制執行を行うこともできます。
ここでは、不動産執行にはどのようなメリットやデメリットがあり、どのように手続きを行えばよいのかについてみていきたいと思います。
不動産執行のメリット
財産価値が高い
不動産は、一般的に高値で取引される資産価値の高い財産です。
競売にかけると市場価格よりも安くなると言っても、それでもまとまった金額の金銭に換えることができ、債権額が高い場合などは、一括で回収できる可能性もあるというメリットがあります。
財産隠しがしにくい
不動産は、他の動産や債権などと違って、移動したり隠したりしにくいというメリットがあります。
また、法務局などに行って登記内容をみれば、だれでもその不動産の状況や権利関係を確認することができ、事前の調査がしやすいのもこの不動産執行です。
不動産執行のデメリット
担保権設定がされていることもある
財産価値が高く、債権の回収の確実性も高いということになれば、同じように考える他の債権者にとっても魅力的な財産と言えます。
債権が発生した際に、万が一の時に備えて、不動産にあらかじめ抵当権などの担保件を設定しておくという債権者いてもおかしくありません。
不動産を強制執行しようと思っても、先に担保権が設定されていれば、当然その債権者が優先されてしまうというデメリットがあります。
手続きに手間と費用がかかる
不動産執行を行うには、裁判所の調査や鑑定評価の費用として納める予納金が高額であり、登記費用もかかってきます。
さらに、配当まで長くて2~3年の時間を要する場合もあります。
したがって、それなりの時間と費用がかかることはあらかじめ覚悟しておいた方がいいかもしれません。