第三債務者とは?
債権執行を申立てる債権者をA、その債務者をB、Bが持つ債権の債務者をCとします。
債権に対する強制執行においては、当事者の相手であるBがもつ債権を差し押さえ、その債権に対するCから直接弁済を受けるわけですが、この直接弁済を受けるCのことを第三債務者と言います。
第三債務者は、差押える対象によって異なり、以下のようなものがあります。
債権の種類 | 第三債務者 |
給与 | 雇用主 |
預金 | 金融機関 |
賃料 | 土地などの借主 |
売掛金 | 取引先 |
売買債権 | 買主 |
この他にも、生命保険、損害保険の返戻金請求権に対しての生命保険会社、損害保険会社などが該当します。
強制執行の申立てを行うには、この第三債務者をあらかじめ特定しておかなければなりませんが、もし特定できない場合は、申立てができません。
従って、金銭の貸し借りが発生する際に、相手方から取引先の金融機関を聞いたり、勤務先などを聞き出しておくことも重要かと思います。
第三債務者に対する債権差押命令
申立てにより、執行裁判所から債権差押命令が出ると、第三債務者に対しても命令が送達されます。
その時点をもって、差押えの効力が生じ、これ以降、当事者の相手方は第三債務者に対して債権の弁済を請求することができなくなり、同時に第三債務者も相手方に対して弁済を行うことが禁じられます。
送達後に、仮に第三債務者Cが相手方であるBやBから債権譲渡受けた債権者に弁済を行ったとしても、債権者Aに対して対抗はできず、2重に弁済しなければならなくなります。
また、万が一第三債務者が債権者Aに対して弁済を拒否した時は、取立訴訟を起こして弁済を求めることになります。
第三債務者の供託
同じ債権に対し、複数の債権者が仮差押えや差押えの申立てを行い、差押えが重複するという場合もあります。
そうなった場合、第三債務者の判断で勝手に一人の債権者に弁済してしまうと不公平になりますし、だれに支払えばよいのかわからず支払いが遅延してしまい損害金が発生してしまうというような不利益を被る場合もあります。
そこで、このように重複した場合には、第三債務者は必ず、法務局(供託所)に供託しなければなりません。
供託とは、弁済期が到来したにもかかわらず、差押えの重複で誰に支払えばよいかわからないといった場合、支払うべき金銭を供託所に納めることにより債務を免れる制度です。
そして、供託所を通して、正当な債権者に支払われることになります。